2024/03/09 23:05

2019年4月に蜂屋うちわ職店を立ち上げ、2024年3月にこのオンラインストアを開始しました。

ネット全盛のこの時世に逆らうように、丸5年近く実店舗のみでの営業を続けてきたことになります。

そのうちにはオンラインも...という考えではずっといましたが、全ての作業や工程を一人でこなしているため、数を作ることへの不確定要素が多すぎるという理由(と言い訳)でだらだら先延ばしにしていたのが現状です。

現在はその時と比べて少しずつ制作できる数にも見通しが立ってきたため、ようやくこのタイミングでオンラインを立ち上げることとなりました。


近頃では雑誌やウェブで紹介していただく機会もちょこちょこあったりして、ありがたいことに当店を知っていただく方も多くなってきました。

ここ最近の営業日にはわざわざ足を運んでくださる方と毎週末のようにお会いしている気がします。まさに自分が望んでいたような店の在り方に近づいているなと、それこそ小躍りするくらい嬉しく感じています。


しかし京都市内とはいえ中心地からは少し距離のある当店。なかなか来店が叶わない方や、遠方にお住まいで京都に来るのが難しい方がおられることも重々承知していました。

そういった方々にもそろそろ門を開いてあげることも必要なのではないか、と改めて感じたことも今回オンラインを立ち上げた理由のひとつです。


こうして実際に立ち上げはしましたが、実店舗の営業や依頼の案件を第一に考えていることに変わりはありません。オンラインはどちらかと言うとサブ的な位置付けと捉えています。

抱えている仕事の状況によって一時的に閉めることもきっと珍しくないし、というか常に何かしらの仕事は抱えているので既にヤバいんじゃないか説もあったりで、今後どのようになるのか正直わかりません。

でもまぁ先のことはまた後で考えるし、今回とりあえず門だけは開けておいたよ、ということで。


ネットやデジタルそしてAIが全盛なこの時代だからこそ、身体で、現場で感じることがより大切だと強く感じています。

単にものを売るだけではなく、その背後にある歴史や伝統・文化について"肌で"感じてもらうことが実際に店を構える大きな意義だと思っていますし、そうすることでその伝統や文化が後の世に繋がっていくんだということを強く信じています。

今回のオンライン立ち上げもまずは品物を手に取っていただいて、そういった足を運んでいただける未来に繋がってくれることを切に願っています。


何の偶然か縁あって京うちわの世界に入り、約400年間続いてきた歴史の先端に自分の立ち上げた店が存在している。

そういった事実をときおり不思議に感じる瞬間があり、同時に少しだけ心が震えている自分がいます。


この春で、この仕事に就いて丸12年。

まだ12年、と心底そう思っています。

この頃は200年前、300年前に作られた品の写真を見ることが増えました。

名も知らぬ先人達の凄さを本当の意味で、身体で感じられるようになるまでの12年だったと、少しだけ振り返ってみた今はそう思います。

自分はどこまで行けるのだろう。

まだまだ道は長く険しいですが、きっと飽きない景色は見せてくれそうだなと、そんな予感がしています。

改めて皆様、蜂屋うちわ職店を今後もどうかご贔屓に。


2024年3月 風花舞う晴れた日に

蜂屋うちわ職店 蜂屋 佑季